京大特色入試合格者が語る!総合型選抜のすべて
総合型選抜、出願の時期が近づいてきています。
皆さんは総合型選抜の受験を考えたことはありますか?
私が京都大学に合格したのは一般選抜ではなく、特色入試と呼ばれる総合型選抜なのですが、当時は特色入試が始まってから2年目でまだまだ情報がありませんでした。
京都大学の薬学部の試験は小論文ではなく、論文問題という名前の試験で、英語で書かれている論文を読んで日本語で答える形式の試験と面接試験がありました。
私は一般選抜より総合型選抜の方が自分の魅力を伝えられると思ったので、京大の特色入試を受験しました。
2021年度にAO入試から名前が変わった総合型選抜ですが、学力だけでは決まらない。一般選抜よりも科目数が少ないこともある。ということから簡単なのでは?裏口入学なのでは?と言われてしまうこともあります。
確かに、総合型選抜の方が自分の強みを活かすことができて一般入試よりも合格の可能性が上がるという人もいます。
ですが、総合型選抜のための実績作りや対策をするくらいならコツコツ勉強を続ける方が合格への近道だと感じる人もいるようです。
ここからは総合型選抜はどのような入試なのか、どのような人が向いているのか、この入試のメリット・デメリットについてお話ししていきます。
総合型選抜とは?
一般選抜は共通テストや2次試験を受けて、その点数で合格・不合格が決まりますよね。
数点差、1点にも満たない差で合否が分かれたりするので、かなりシビアです。
一方で総合型選抜は、テストの点数だけで合否を決めるのではなく、学びの意欲や人間性、持っている知識をどのように応用できるかという部分まで含めて評価されます。
後期試験を実施する大学が減る中で総合型選抜での入学者が急増し、今では代表的な入試方式の1つです。
実際の試験としては面接と小論文が一般的ですが、大学によって独自の入試をおこなうことができるので、大学によっては学力試験やプレゼンテーション、英語での面接があるところもあります
こういった試験を通して、大学が求めている人物像に合う学生かどうかが判断がされます。
大学が求める人材を表したものがアドミッションポリシーです。入試の前には受験する大学のアドミッションポリシーをしっかり読みこんで、それに沿って話が組み立てられるようになっていると良いでしょう。
点数だけではなく、一人一人を見て判断してくれるというのは嬉しい入試ですが、その準備や対策に時間がかかるのは確かです。
他のことには手を出さず、勉強だけに集中したいか、勉強以外の部分も評価してほしいかということによって、どちらの入試が自分に有利かを見極める必要があります。
時期としては9月から、一般選抜よりも早い時期に入試が始まります。
総合型選抜の選考基準や時期、試験内容は大学によってかなり違いもありますので、志望校の試験内容を確認してみてください。
総合型選抜を受験するメリット
入試が早く終わる
周りの合格が次々に決まっていく前に受験生活を早く終わらせて安心したいという理由だけで総合型選抜を受験する人もいるようです。
総合型選抜は早くて年内、遅くても2月の初めには合格発表があるので、一般入試より1ヶ月以上早く大学入試生活が終わることになります。
合格のチャンスが増える
私が特色入試での受験を決めたのはこの理由が1番です。
国公立大学の前期入試は1つの大学しか受けることはできませんが、総合型選抜を受験することで合格のチャンスを増やすことができます。
同じ大学を2回受けられるならそれは最高のチャンスです。
自分に合う大学を選べる
志望理由書や面接の準備をする中で、将来就く職業や大学について詳しく調べることになります。受験生のうちから大学のことをしっかり知っておけば、大学に入ってから思ったものと違う。自分には合わないというようなギャップも無くなります。
逆に大学側も求める人材にあう受験生を見極める入試で、学力以外にも人間性や興味・考え方を見て判断するので、どちら側から見てもマッチする大学選びができます。
自分を知るきっかけになる
受験勉強に追われていると、立ち止まって将来自分が何をしたいのか、自分の得意なものは何か、考える余裕はなくなりがちです。
総合型選抜で自分のアピールをするために考える中で、自分はどんな人でこれからどうなりたいのか考えるきっかけにもなります。
将来役立つスキルがつく
自分を分析する力や思っていることを伝えるコミュニケーション能力は一般選抜に向けた受験勉強をしているだけではなかなか身につきません。
総合型選抜はそれらの能力が必要とされる入試なので、対策をしているうちに将来役に立つスキルを身につけることができます。
総合型選抜に向いている人
やりたいことがはっきりしている人
一般選抜は総合点で評価されるので、何か一つの科目が得意な人よりもオールマイティーでバランスよく得点できる人の方が有利になりますが、総合型選抜は何か苦手な科目があってもその大学・学部が求める能力さえあれば合格することができます。
面接では今後のビジョンがはっきりしていて、それを言葉にして伝えられるかが見られます。
今はやりたいことがはっきりしていないという人も、じっくり考えてストーリーを創りあげることができれば、入試までには十分間に合います。
自分の魅力をアピールできる人
どれだけすごい実績や考え方があっても、書類や面接の中でアピールすることができなければ試験官には伝わりません。
考えていることを言葉にするのが得意な人が総合型選抜では有利な印象があります。
伝えることが全て事実ではなかったとしても、少し大きく見せるように話したり、相手が求めていることを察して相手に合わせるというのも1つのテクニックです。
高校時代、勉強以外の活動をしてきた人
これが1番準備に時間もかかります。
高校3年生の皆さんが今この記事を見て、実績を作りたいと思ってもなかなか難しいのが現状です。
何か活動をしてきた人はその実績を活かすために総合型選抜に挑戦してみてほしいですし、まだ何もないという人も表現の仕方次第で実績を作り出すことは可能です。
悩んでいる方がいらっしゃれば一緒に実績づくりをしましょう。
部活や生徒会、研究活動、海外研修やコンテストに参加したこと。何かきっかけがあればそこから話を膨らますことができます。
このような実績や能力というのは一般選抜の共通テストや2次試験の点数からは見ることができません。
こういった部分を含めて判断するために採用されたのが総合型選抜なので、学力以外にも自信があるものがある人には最適の入試です。
他の高校生とは違う活動をしてきたという自信がある学生はチャンスを1つ増やす意味で、総合型選抜に挑戦してみると良いでしょう。
総合型選抜のデメリット・注意点
時間が限られているこの時期に大きな入試を1つ増やすということには大きなリスクもあるということを忘れてはいけません。
対策に時間がかかる
志望校の分析から始まり、志望理由書のさくせいや小論文・面接の対策。
一般選抜に向けた勉強だけでは身に付かない部分を見られることも多いので、総合型選抜に向けて改めて対策をする必要があります。
私は志望理由書を含めた出願書類だけでも、完成までは1ヶ月近くかかりました。
だからこそ、敢えて入試直前に対策を始めるというのもポイントです。
色々な問題やテーマに触れておくことも大切ですが、大事なのは話題のストックと臨機応変に対応する力です。
小論文の解答のコツや面接のマナーさえおさえておけば、対策は十分です。
一般選抜対策が疎かになる
総合型選抜といっても時期は様々ですが、私の場合は11月に出願、12月中旬に大学での試験、センター試験の点数も加味して2月上旬に合格発表という日程でした。
共通テストや前期試験直前の大事な時期にちょうど被るので、総合型選抜の対策を頑張りすぎると国公立入試の対策が疎かになってしまいます。
総合型選抜はチャンスを増やすための入試というお話をしてきましたが、チャンスを増やしたことによって努力の時間が分散してしまい、一般選抜の対策時間が足りなくなってしまうというのでは元も子もありません。
メンタルに影響する
総合型選抜の合格発表は前期入試の直前ということもあり、メンタルの安定も大切な時期です。
年内に大学での試験がある人は特に、入試が終わった達成感で受験が終わった気分になってしまったり、結果が気になりすぎて過去問演習に手がつけられないという人もいます。
受験期の一喜一憂はかなり危険です。
総合型選抜の次の日からは一般選抜に向けた勉強を再開するというような切り替えが大切です。
不合格だった場合に自信を無くし、実力はあるのに前期試験で本領発揮ができないという学生もいます。
結果が出てから数日でも勉強に集中できない期間が続いたり、試験を受けても自信がないというだけで大学受験は命取りになります。
結果に左右されないのはすごく大切なこと。
極端な表現になりますが、総合型選抜は落ちたと思って対策を続けて、結果発表も受かったらラッキーくらいの気持ちで迎えられると良いでしょう。そうはいっても第一志望校の入試はメンタルにかなり影響するものなので、どういう結果であれ、気にせずに勉強を続ける自信がある人だけ受験することをおすすめします。
詳しくはYouTubeチャンネル「教育嬢TV」でもお話ししています。ぜひご覧下さい🙇♀️
受験メンタルトレーナー/チャイルドコーチングアドバイザー
地方公立中高一貫校から特色入試現役合格で京都大学薬学部に進学。
中高時代は運動部の活動と学業、個人研究を両立。
大学生時代に事業立ち上げ準備の一環として大手予備校で塾講師として勤務。京都祇園のキャバクラに約2年間勤務し月間売上450万円を達成。
その後、地元仙台でキャバクラ勤務をし、月間売上500万円を達成。同時に母校でアドバイザーとして高校生の指導を行っている。