私の志望校決定までの物語

「将来、何になりたいの?」

「どの大学を目指してるの?」

そう聞かれても、すぐには答えられない。

なんとなく理系に進もうとは思っているけれど、具体的な学部や職業まではイメージできない——。そんな人も多いのではないでしょうか。

私もそうでした。

高校受験もなかった中高一貫校に通い、周囲に流されるように過ごしていた高校1年生の私。そんな私が、京都大学薬学部を受験するまでにたどった進路決定の道のりは、決してまっすぐではありませんでした。

でも、その「迷った時間」や「悩んだ選択」が、いま思えば私にとってかけがえのない財産です。

ここでは、私がどんなふうに将来を考え、志望校を決めていったのかを正直にお話しします。

この物語が、いま悩んでいるあなたの背中を少しでも押すことができたら嬉しいです。

進路について考え始めたきっかけ

中高一貫校に通っていた私は、高校入試という節目がありませんでした。だからこそ、周りが一斉に受験に向けて動き出すという機会もなく、自分の進路について本格的に考え始めたのは高校1年生の頃でした。

最初に決まっていたのは「理系に進む」ということだけ。正直、それ以上のビジョンはなく、将来の職業も大学も漠然としていました。そんな中、担任の先生との面談で「医学部を目指してみてはどうか」と勧められたのが、私の受験ストーリーの始まりです。

当時の私の学力は、医学部合格には到底及ばないレベル。模試の判定もDやEばかりでした。それでも、どうせ目指すなら東大や京大クラスの大学を視野に入れようという思いがありました。最初から“届きそうな大学”を選ぶのではなく、“届かないかもしれないけど、挑戦したい場所”を目指すことで、自分を追い込んで成長できる気がしたのです。

そんな中、担任の先生から「性格的に合っているかもしれない」と言われたのが京都大学でした。仙台から京大医学部に進学する人はほとんどおらず、正直なところ、かなり高いハードルです。それでも私は京大を第一志望に決めました。

努力を重ねても模試の判定はなかなか上がらず、京大医学部はずっとC判定が最高。マーク模試でようやくCを取れるようになったという程度で、他の大学ではAやB判定も出ていたのに、それでも京大を諦めようとは思いませんでした。今思えば、最初から自分の実力に見合ったレベルの大学を目標にしていたら、ここまで学力を伸ばせなかったのではないかと思います。

進路を考えるうえで悩んだのが、理科の選択でした。医学部は物理・生物どちらでも受験できる大学が多いため、どちらを選ぶべきかかなり迷いました。最終的には「医学部以外を受験する可能性」も見据えて、物理と化学を選択。社会については、もともと暗記が苦手だったこともあり、少しでも覚える量が少なそうな地理を選びました。

情報集め

高校1年生の夏には京大医学部のオープンキャンパスに参加し、雰囲気や学びの深さに触れてワクワクしました。高校2年生になる春には、駿台の箱根セミナーで様々な大学についての話を聞き、選択肢を広げる機会を得ました。そして2年生の夏には自治医科大学のオープンキャンパスにも参加。京大と自治医科、どちらにも強く惹かれました。

また、高校1〜2年生の間には、東北大学で開催されていた医学部志望者向けの講演会にも参加。医師の職業講話など、「医者」や「医学部」のキーワードがつくイベントがあれば、片っ端から足を運びました。こうした体験を重ねることで、自分の目標を具体的に描いていけたように思います。

入試方式の決定

もともと面接には自信があり、学校でもSGH(スーパーグローバルハイスクール)の課題研究を行っていたため、AO入試や推薦入試での受験にも興味がありました。ちょうど私の1つ上の学年から東大・京大でAOが始まると聞いて、すぐに挑戦を決意。入試要項を読み込みながら、どの学部を選ぶか真剣に考えました。

最終的に京大の特色入試を受けることに決めました。当時の京大医学部の特色入試にはTOEFLやIELTsのスコア要件があり、特にスピーキングの評価に対人面接が含まれるIELTsを選択。高校3年生の夏に2回受検しましたが、目標のスコア6.0には届かず、結果は5.5。京大医学部の特色入試を受験するための条件を満たせませんでした。

直前の進路変更

ここで一つの大きな決断が必要になりました。医学部は前期試験で受けることもできましたが、私にとって“医学部”よりも“京大”に進学することのほうが大事だったのです。臨床医になるよりも、医療分野に関わる研究をしたいという思いが強かったこともあり、初めて医学部以外の進路を本気で考えるようになりました。

そして選んだのが、京大薬学部。研究職として医療に関わる道があることを知り、自分の興味や将来像に一番近い選択だと感じました。そこから、薬学部の特色入試への出願を決意したのです。

ところが、出願を決めたのは高校3年生の10月。まさに受験本番直前の時期で、学校の先生方からは大きな反対を受けました。進路変更にともなう書類の準備、受験勉強、面談…。すべてが一気に押し寄せて、受験期の中で最もストレスのかかった1週間だったことを今でもよく覚えています。

それでも、私は自分で選んだ道を信じました。

進路に迷うみなさんへ

進路に迷うのは、当たり前のことだと思います。やりたいことが見つからないと悩む人も多いけれど、私は「迷わないこと」がゴールではないと思っています。本当に大切なのは、できるだけ多くの情報に触れ、たくさんの選択肢を知ったうえで、自分にとって譲れない「こだわり」を見つけること。

私の場合、そのこだわりが“京大に行きたい”という気持ちでした。医学部か薬学部か、どんな進路かよりも、京大という環境に身を置いて学びたいという気持ちが何よりも強かった。そのこだわりさえブレなければ、どんな学部であっても、きっと納得のいく大学生活が送れる。そう信じて、私は自分の道を選びました。

もし今、進路選びに悩んでいる人がいるなら、無理に「1つに決めなきゃ」と思わなくて大丈夫。たくさんの情報を見て、聞いて、触れて、迷ってください。迷った先にこそ、本当に納得できる選択肢が見つかるのだと思います。

そして、最後は自分が何にこだわるのかを決めてください。それが、あなたの物語を動かす原動力になるはずです。

詳しくはYouTubeチャンネル「教育嬢TV」でもお話ししています。ぜひご覧ください🙇‍♀️

この記事を書いた人
ゆあ

受験メンタルトレーナー/チャイルドコーチングアドバイザー
地方公立中高一貫校から特色入試(AO入試)で京都大学薬学部に現役合格
中高時代は運動部の活動・個人研究・学業を両立
大学在学中は大手予備校の塾講師として勤務し、受験指導やメンタルサポートの経験を積む
卒業後は母校でアドバイザーとして高校生の指導、地元個人塾でカリキュラム作成、オンラインを中心とした受験コンサルティングも展開中

受験戦略編

Posted by kyoikujo