【体験談】京大薬学部にAO入試で合格!教育嬢ゆあが語る合格の裏側

「学力試験の点数だけじゃなく、自分の強みで勝負できる入試がある」

そう聞いたとき、あなたならどう感じますか?

私が京都大学薬学部に合格したのは、まさにその入試――特色入試(旧AO入試)でした。

高校1年生のときに耳にした一つの情報がきっかけで、私は進路を大きく変えることになります。課題研究の授業や英語試験への挑戦、そして面接での自分らしい表現。すべてが合格につながる大切な経験でした。

近年では多くの大学が導入していて、学力試験だけでは測れない力を評価するチャンスとして注目されています。今日は、私自身が2017年度に京都大学薬学部薬科学科の特色入試(旧AO入試)を受験したときの体験を、できるだけリアルにお伝えしていきたいと思います。これからAO入試や総合型選抜を考えている方に、少しでもヒントになれば嬉しいです。

高1から始まったAO入試への意識

受験を意識し始めたのは高校1年生のときでした。

ちょうどその頃、私の1つ上の代の先輩が受験する年から東大や京大で総合型選抜(当時はAO入試)が始まるらしいという話を聞いたんです。もともと入試について深く考えていなかった私ですが、その知らせをきっかけに「自分にもこういう道があるんだ」と気づきました。

同じタイミングで通っていた高校がスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定されたばかりで、課題研究の授業が導入されました。自分のテーマを掘り下げ、調べ、発表するスタイルは、特色入試対策にも直結するものでした。さらに私は昔から人前で話すことが得意で、面接試験に強いタイプでした。だからこそ、「これは自分に合っているかもしれない。チャンスを広げたい」と思い、受験方式そのものを志望理由に据える形で総合型選抜に挑戦することを決めたのです。

東大か京大か、迷いの末に京大へ

当時の東大と京大の特色入試を比べると、東大は英語の外部試験やコンテスト出場など、高い要件を満たす必要がありました。一方で京大も同様にハードルは高いのですが、私はもともと京大の自由な校風に惹かれていて、入試方式をきっかけに志望が京大へと固まっていきました。

最初は医学部を目指していました。ですが、IELTSのスコア基準が6.0で、私の実力はそこに届きませんでした。高3の夏に初めてIELTSを受け、スピーキング練習も頑張りましたが、夏は5.0~5.5、9月初めの再挑戦でも5.5止まり。医学部の基準には届かず、志望先を考え直さなければなりませんでした。

薬学部にたどり着くまでの模索

医学部に代わる学部を探す中で、農学部や理学部も視野に入れました。その中で薬学部に決めたのは10月に入ってからです。理由は「人の健康に関わる研究をしたい」という想いが強かったから。薬学部なら、自分の興味を活かせるし、IELTSの基準点も5.5でギリギリクリアできていました。

出願に必要なのは「学びの設計書」と呼ばれる書類でした。これまでの活動や、志望理由、大学でどんな学びをしたいのか、将来どんな研究を目指すのかを具体的に記す必要があります。私は高校での課題研究や海外研修の経験を振り返りながら、どのように薬学と結びつけていけるのかを丁寧に書きました。この準備が11月初旬の出願までに必要だったので、秋は書類作成にかなり時間を割きました。

論文試験と面接試験の準備

二次試験は12月17日。内容は面接と論文試験で、それぞれ200点ずつの配点でした。論文試験は英語で書かれた化学・生物・物理分野の論文を読み、日本語で答える形式です。当時はサンプル問題と過去問が1年分しかなく、対策はほとんどできませんでした。

正直、論文試験は未知の挑戦でした。だからこそ私は「面接で点を稼ごう」と方針を立て、学校や塾の先生に協力してもらいながら面接練習に力を入れました。自分の研究内容を分かりやすく話す練習や、大学でやりたいことを論理的に説明する練習を繰り返し行いました。

本番当日の試験体験

試験当日は定員3人に対して、受験生も3人。つまり倍率は1倍。とはいえ前年は受験者がいても合格者ゼロだったこともあり、「誰かは落ちるかもしれない」という不安もありました。でも「競争相手」というより「自分らしさを出す場」と考えることで、緊張は少し和らぎました。

午前中の論文試験は3時間。途中で選択外の生物分野が出題されるという予想外の展開がありました。私は物理・化学選択だったので一瞬焦りましたが、直前にほかの受験生と「みんな物理化学選択だよね」と確認していたことを思い出し、「全員条件は同じだ」と割り切って集中できました。結果的に3時間はあっという間で、最後まで書き続けても時間が足りないほどの分量でした。

午後の面接は、受験生1人に対して面接官が6〜7人もいて圧倒されました。質問内容は多岐にわたり、高校時代の研究、大学で取り組みたいテーマ、留学の希望、大学院への進学意欲、さらには東日本大震災での経験についてまで聞かれました。ただ、雰囲気は決して圧迫的ではなく、真剣に私の考えを知ろうとしてくださっている印象でした。この面接は、自分の言葉で想いを伝える大切さを実感できる貴重な時間でした。

結果と振り返り

合格発表は2月8日。結果は無事に合格。点数開示では論文試験が114点/200点、面接が184点/200点と、狙い通り面接で高得点を取れていたことが分かりました。振り返れば、得意分野を伸ばす戦略が功を奏したといえます。

もちろん、総合型選抜は誰にでも簡単に合格できるわけではありません。大学や学部によって出願条件や試験内容は大きく異なります。英語力や研究活動の実績が求められる場合もあれば、課題論文やグループディスカッションが重視される場合もあります。そのため、志望先を決める際には必ず先輩の体験談を聞いたり、先生に相談したりすることをおすすめします。

もし周りに相談できる先輩がいなければ、私たちもサポートさせていただきます。

最後に

私にとってAO入試は「自分の強みを発揮できる舞台」でした。特色入試を通して、自分の研究や経験を評価してもらえたことは大きな自信になりました。

これから受験を控えているみなさんも、ぜひ「自分らしさをどう表現できるか」を考えてみてください。点数だけではない評価軸があるのが総合型選抜の魅力です。挑戦する価値は必ずあります。この記事が、皆さんの一歩を後押しできれば幸いです。

詳しくはYouTubeチャンネル「教育嬢TV」でもお話ししています。ぜひご覧ください🙇‍♀️

この記事を書いた人
ゆあ

受験メンタルトレーナー/チャイルドコーチングアドバイザー
地方公立中高一貫校から特色入試(AO入試)で京都大学薬学部に現役合格
中高時代は運動部の活動・個人研究・学業を両立
大学在学中は大手予備校の塾講師として勤務し、受験指導やメンタルサポートの経験を積む
卒業後は母校でアドバイザーとして高校生の指導、地元個人塾でカリキュラム作成、オンラインを中心とした受験コンサルティングも展開中

受験戦略編

Posted by kyoikujo