共通テスト数学攻略法|得点を安定させる5つの戦略(2ヶ月完成版)

先月から続けてきた「この秋にやるべき共通テスト攻略法」シリーズも、いよいよ数学に突入です。

1日目の文系科目・2日目の理科(化学・物理)については前回までに解説済み。まだの方は、後ほどチェックしておいてください。

共通テスト数学で勝つ鍵は、「読む・立てる・選ぶ・解き切る」の4工程を、時間内に再現できるかどうか。問題そのものより、解く手順の設計と実行で差がつきます。今日は、その再現性を高めるための5つの戦略を順番にお話しします。

最初に「配点最大化の設計図」を作る(順番と捨て問のルール)

まずは “どこで点を取るか”の設計から。実力が同じでも、解き方の順番と捨て方で最終点は大きく変わります。

本番で迷わないために、事前に固定ルートを決めておきましょう。

全体把握

1分で全体をざっと眺め、分量・図形/文章量・計算の重さを把握。

その場で「先に解く」「後回し」「最終まで放置」の3色分け(印だけでOK)。

先着は“取り切れる大問”

例:確率の基本系、座標幾何の短距離ラン、微積の典型面積など。5〜7分で取り切れるものを先に。

“泥沼”は後回し

場合分けが重い、式が膨らむ、定義の読み直しが多い——。3分で突破口が見えないなら、潔く飛ばす。

捨て問のルールを前日に決める

「3分で見極め→飛ばす」「最終5分で戻る」の自動化ルールを作る。感情で粘らない。

ここを決めておくと、以降の4戦略(時間圧縮・難問耐性・ミス削減・2次並走)が全部ハマります。

制限時間を“意図的に短く”して、見直しを必ずする

時間が足りない→見直せない→ケアレスで落とす。この連鎖を断ち切るには、練習で時間を削るのが最短です。

練習設定

• 数IA/数IIBC(本番70分) ⇒ 練習は各−10〜15分で解く

• 目安:70分試験なら55〜60分で本体を終え、10分見直しを必ず確保

“見直しの型”を固定

1. 設問条件の照合(単位・定義・区間)

2. 代入検算(端点・代表値・極端値)

3. 計算の符号・累乗・約分漏れ

4. マーク位置・転記ミス

本番より短い環境で合格点を取る設計は、心拍を上げない最強の安全策。緊張で2〜3分溶けても耐えられます。

過去問より“少し難しい”実戦セットで基準を上げる

過去問を早々に解き尽くすのは禁物。数学に限っては、さらに理由があります。

少し背伸びした難度で基準を上げると、本番で「思ったより簡単」に感じられ、処理スピードと判断が加速するからです。

素材の選び方

• 共通テスト模試/予想問題の上位難度セット

• センター過去問は長文化対応の補助として(読みのリズム訓練に)

使い方の原則

1. 時間短縮設定で通し

2. 誤答は“原因分類”(計算・読解・定義・図形把握・手順選択)

3. 同テーマを別年度・別問題で即リトライ

「背伸び→原因特定→同テーマ高速リトライ」のサイクルを回すと、似たパターンでの再失点がほぼ消えます。

ミスの原因を“言語化”して再発を止める

同じミスが繰り返されるのは、原因の名前が付いていないから。

復習では、答案ではなく自分の行動を直します。

よくある致命ミスと対策

1. 読解抜け

症状:条件の読み飛ばし(「整数」「0≦x≦1」など)

処方:本文に条件へ蛍光マーク/式の上に定義域を毎回書く

2. アタリ式選択ミス

症状:最短手を捨てて遠回り(例:確率で樹形図を全部描く)

処方:単元ごとに**“最初の一手リスト”**を作る

例:確率→「対称性・余事象・期待値から」/数列→「漸化式 or 和の公式の当たり前2択」

3. 符号・絶対値・2乗見落とし

症状:−の付け忘れ、| | の外し忘れ

処方:符号チェック行を答案の最後に固定(+/−だけ連続確認)

4. 図形の取り違え

症状:図が頭の中だけ/補助線不足

処方:座標化 or ベクトル化を“逃げ道”として準備

5. 計算渋滞

症状:紙面が散らかって迷子

処方:段落書き(1行1処理)+矢印で接続/分数は早めに通分→因数分解へ

復習ノートは「ミスの名前/原因/次回のルール」の3行だけ。分厚くしない。読む気が続く薄さでOK。

2次試験対策は別枠で並走する(理系向け)

理系はここが決定的。共通テストと2次試験は両立して鍛える必要があります。

共通テスト直前にマーク式だけを詰め込むと、記述の思考筋が落ちて、共テ後1ヶ月で戻らないことがあります。

分業の原則

共通テスト:読む速度/条件整理/最短手の選択

2次:記述の論理性/複数アプローチの比較/定義からの構成力

時間の切り分け

平日:共通テスト形式(短時間×多回転)

週末:2次の記述(1〜2題を深掘り、なぜこの解法が速いかまで言語化)

「共テで速さを、2次で深さを」。速さ×深さの掛け算が、両方の得点を底上げします。

まとめ:数学は“設計と再現”で点が決まる

• 順番と捨て問のルールを先に決め、配点最大化を設計する

• 時間は意図的に短縮し、毎回見直し10分を確保する

• 過去問より少し難しいセットで基準を引き上げる

• ミスの名前を付けて行動ルールに落とし込む

• (理系)2次対策は別枠で並走し、速さ×深さを同時に育てる

今日からやるなら、まずは「自分の固定ルート(先・後・捨)」を書き出して、次の演習で本番どおりに運用してみてください。

設計→実行→見直しの三拍子が揃った瞬間、得点は安定して伸びます。

詳しくはYouTubeチャンネル「教育嬢TV」でもお話ししています。ぜひご覧ください🙇‍♀️

この記事を書いた人
ゆあ

受験メンタルトレーナー/チャイルドコーチングアドバイザー/JAPAN MENSA会員
地方公立中高一貫校から特色入試(AO入試)で京都大学薬学部に現役合格
中高時代は運動部の活動・個人研究・学業を両立
大学在学中は大手予備校の塾講師として勤務し、受験指導やメンタルサポートの経験を積む
卒業後は母校でアドバイザーとして高校生の指導、地元個人塾でカリキュラム作成、オンラインを中心とした受験コンサルティングも展開中

受験戦略編

Posted by kyoikujo