共通テスト物理攻略法|2ヶ月で得点を安定させる5つの戦略

11月に入り、共通テスト対策も本格的な時期を迎えました。

このシリーズでは「この秋にやるべき共通テスト攻略法」として、社会・国語・英語・化学と順に紹介してきましたが、今回は理系受験生にとっての要である物理です。

共通テストの物理は、「公式暗記」や「典型問題演習」だけでは得点が安定しません。

なぜなら、考えて理解し、図で整理し、時間内に再現する力が問われる試験だからです。

今回は、共通テスト物理の得点を安定させ、最終的に二次試験にもつながる5つの戦略を解説します。

理系のみなさんにとっては理科の第1解答科目選びも大切ですが、選び方と私の体験談は化学の記事でお話ししています。

苦手単元を“今”洗い出し、徹底的に基礎固めする

まず最初にやるべきことは、苦手単元の把握です。

共通テスト物理では、小問集合・力学・波動・電磁気・熱・原子の中から3〜4分野が出題されます。

どれも満遍なく出るため、「得意分野だけで勝負」は通用しません。

12月を過ぎると過去問演習中心の時期に入り、基礎に戻る時間はほとんど取れません。

つまり、苦手発見のラストチャンスは11月なのです。

苦手発見の具体的ステップ

1. 共通テスト形式の問題集を1冊(『共通テスト実戦模試』『河合塾共通テスト総合問題集』など)解く

2. 正答率60%未満の単元をリストアップ

3. その単元を『センサー物理』『名問の森』などで再演習

実践演習を進めながらも、苦手単元は1単元=1週間集中で演習するような計画を立ててみてください。

苦手克服は「闇雲に解く」よりも、「弱点を見つけて潰す」ことが重要です。

図に書く習慣を“反射レベル”まで身につける

共通テスト物理で失点する最大の原因は、頭の中だけで考えてしまうこと。

文章で与えられた情報を図にできるかどうかで、得点は大きく変わります。

図に書くメリット

• 思考の混乱を防げる

• 力のつり合いや電流の方向など、関係性を可視化できる

• ケアレスミスを減らせる

• 時間短縮になる(計算前に全体像が整理される)

図の書き方のコツ

1. 力・速度・電流の向きは必ず矢印で書く

2. 値が分かったらその場で書き込む(後から追記しない)

3. 単位や向きを図上で確認(「上向き正」「右向き正」など明記)

4. 余白に簡単な式メモを添える(例:F=qvB → “垂直成分のみ”)

受験本番では、緊張で頭の中のイメージが曖昧になります。

だからこそ、考える前に書くことを習慣にすること。

これは物理が苦手な人ほど、最も伸びるポイントです。

知識だけでは解けない“応用問題”への思考力を養う

共通テストでは、公式暗記や典型パターンの再現だけでは対応できない出題が増えています。

見たことのない設定でも、自分の知識をどう組み合わせて使うかが問われます。

思考力を伸ばす4ステップ

1. 条件整理:問題文にある数値・単位・変化量をすべて抜き出す

2. 関連公式の候補を挙げる:どの単元の知識を使えるかを判断

3. 関係性を可視化:比例・反比例・符号の関係を図や矢印で表す

4. 極端条件で検証する:「もし質量が2倍なら?」「角度が0なら?」

これにより、知識が“丸暗記”ではなく“使える道具”に変わります。

例:見たことのない装置が出たとき

「電流が流れる金属棒が磁場中で動く」という装置を初めて見たとき、

“磁場がある → F = qvB”

“電流がある → F = IℓB”

と頭の中で置き換えた瞬間、「力が働く方向を求める問題だ」と気づき、冷静に解けるはずです。

本番では完璧な知識より、状況を置き換える柔軟さがカギです。

共通テスト対策が二次試験の得点にも繋がる

物理は、共通テスト対策と二次試験対策が完全に切り離されているわけではありません。

むしろ、共通テストの演習を通して「条件整理力」「単位感覚」「思考の正確さ」を磨くことで、二次試験でも迷わず式を立てられるようになります。

私の体験談

私は11月まで二次試験中心に勉強していました。

しかし、マーク式演習を始めた11月末、思考スピードが上がり、

「問題文を読む→条件を図に整理→式を立てる」までの時間が格段に短縮されました。

共通テストの練習は、いわば思考の筋トレ。

スピードを鍛えながら、二次の記述問題にも通用する理解が深まります。

効果的な学習バランス

平日:共通テスト形式(時間配分と基礎確認)

週末:記述問題や二次過去問(思考力の強化)

2つを交互に進めることで、「速さ×深さ」両方の力が育ちます。

時間配分と戦略を“身体で覚える”

物理は、1問ごとの思考負荷が大きく、時間が足りなくなる人が非常に多い科目です。

本番で焦らないためには、時間配分を決めて模試の段階から慣らすことが不可欠です。

本番で焦らないためのルール

1. 1問に3分以上かけない

2. 最初の小問集合で勢いをつける

3. 「難問を飛ばす勇気」を持つ

4. 残り10分で見直し時間を確保する

物理は「わかる問題を確実に取る」科目です。

冷静にペースを守ることで、ミスを減らし安定した得点に繋がります。

まとめ:物理は“考えて整理する科目”

• 苦手単元を早めに把握し、基礎固めを完了させる

• 図に書くことで思考を可視化し、ミスを防ぐ

• 知識の組み合わせで未知の問題に対応する

• 共通テスト演習を通して二次試験の思考力を鍛える

• 時間配分を決め、本番で実力を出し切る

共通テスト物理は、「知っている」より「考えられる」人が強い試験です。

焦らず、一問一問を丁寧に整理して解く力を、今のうちに身につけましょう。

詳しくはYouTubeチャンネル「教育嬢TV」でもお話ししています。ぜひご覧ください🙇‍♀️

この記事を書いた人
ゆあ

受験メンタルトレーナー/チャイルドコーチングアドバイザー/JAPAN MENSA会員
地方公立中高一貫校から特色入試(AO入試)で京都大学薬学部に現役合格
中高時代は運動部の活動・個人研究・学業を両立
大学在学中は大手予備校の塾講師として勤務し、受験指導やメンタルサポートの経験を積む
卒業後は母校でアドバイザーとして高校生の指導、地元個人塾でカリキュラム作成、オンラインを中心とした受験コンサルティングも展開中

受験戦略編

Posted by kyoikujo